食事・運動管理とあわせた採血不要の次世代血糖モニタリング法確立へ
東京大学発の医工連携スタートアップである株式会社Provigateは15日、東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科の相原允一助教、熊本大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科(大学院生命科学研究部)の窪田直人教授らと同社がチームを組む研究グループが、新たに開発した唾液グリコアルブミン(GA)検査法により、採血不要な糖尿病管理手法確立への道を拓いたことを発表した。
糖尿病患者を対象とする実証実験により、従来の採血GA検査とほぼ同等の精度による検査結果が得られることを確認したという。研究結果は10月22日付で「Diabetes Research and Clinical Practice」に論文掲載された。
糖尿病患者を対象とする実証実験により、従来の採血GA検査とほぼ同等の精度による検査結果が得られることを確認したという。研究結果は10月22日付で「Diabetes Research and Clinical Practice」に論文掲載された。
糖尿病の治療では、薬物療法とともに食事や運動による血糖管理が重要とされる。食事や運動の影響を正しく知り、管理状態を良好に保っていくためには、適切な頻度での血糖モニタリングが欠かせない。
よって血液検査で測定されるHbA1c値や血糖値、グリコアルブミン(GA)値のほか、在宅で検査できる指先血の図時血糖値測定を行う血糖自己測定器(SMBG)や、センサを皮下に留置して連続的な間質液中のグルコース濃度を測定していく持続血糖モニタリング機器(CGM)なども用いられているが、いずれも穿刺による採血やセンサ留置の侵襲性が課題として残されている。
また、HbA1c値は診断や長期的な血糖管理指標としては有用だが、変化が遅く日々の小さな行動変化を迅速に捉えるには適さない。静脈採血による血糖値測定や指先穿刺によるSMBGの測定では、その瞬間の血糖値データのみの取得となるため、睡眠時や食事・運動により変わる血糖変動の推移をみることが難しい。
CGMでは10~14日間の血糖変動を連続的に捉えられるが、アプリケーターによる穿刺とフィラメント留置、皮膚に機器を貼り付けたまま生活する必要があるといった患者負担や、コスト面の課題もある。
こうした測定法における各種課題から、糖尿病患者の多くが手探りのまま食事・運動療法に取り組んでいるといった状況にある。
よって血液検査で測定されるHbA1c値や血糖値、グリコアルブミン(GA)値のほか、在宅で検査できる指先血の図時血糖値測定を行う血糖自己測定器(SMBG)や、センサを皮下に留置して連続的な間質液中のグルコース濃度を測定していく持続血糖モニタリング機器(CGM)なども用いられているが、いずれも穿刺による採血やセンサ留置の侵襲性が課題として残されている。
また、HbA1c値は診断や長期的な血糖管理指標としては有用だが、変化が遅く日々の小さな行動変化を迅速に捉えるには適さない。静脈採血による血糖値測定や指先穿刺によるSMBGの測定では、その瞬間の血糖値データのみの取得となるため、睡眠時や食事・運動により変わる血糖変動の推移をみることが難しい。
CGMでは10~14日間の血糖変動を連続的に捉えられるが、アプリケーターによる穿刺とフィラメント留置、皮膚に機器を貼り付けたまま生活する必要があるといった患者負担や、コスト面の課題もある。
こうした測定法における各種課題から、糖尿病患者の多くが手探りのまま食事・運動療法に取り組んでいるといった状況にある。
唾液からの検査で手軽ながら正確さを確保
手軽な血糖値管理の手法として、近年はスマートウォッチ型の非侵襲血糖計もしばしば話題になるが、実用的精度を達成したものは未だ実用化されていない。そのためFDAや日本糖尿病学会は、こうした機能を謳う未承認機器の使用にかかる健康リスクへの警告を発する事態ともなっている。
そのため研究グループでは、このような現状を改善すべく、実用的で非侵襲的、確度の高い糖尿病管理手法を多角的に模索してきた。その中で既に唾液や涙液からアルブミン採取が可能で、それらによるGA値の分析が可能なこと、指先から自己採血され郵送された微量血液からGA値を分析する手法、2型糖尿病患者が通常診療に加えて在宅でGA値を週1回測定すると血糖値に有意な改善がみられることなどを報告してきている。
今回の研究では、さらに唾液を用いた実用的臨床検査手法を開発、その正確さを示す実験データとともに発表を行った。
実証研究は、東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科を対象単施設とする探索的観察研究として、糖尿病血糖管理のために入院した患者らの協力により実施された。
入院から3日以内の空腹時、食後の採血・唾液検体と、退院前3日以内の空腹時採血・唾液検体を用い、従来使われる血液検体による高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法の結果と、同時採取した唾液のHPLC法結果との比較、結果に影響しうる交絡因子の解析などを行っている。
そのため研究グループでは、このような現状を改善すべく、実用的で非侵襲的、確度の高い糖尿病管理手法を多角的に模索してきた。その中で既に唾液や涙液からアルブミン採取が可能で、それらによるGA値の分析が可能なこと、指先から自己採血され郵送された微量血液からGA値を分析する手法、2型糖尿病患者が通常診療に加えて在宅でGA値を週1回測定すると血糖値に有意な改善がみられることなどを報告してきている。
今回の研究では、さらに唾液を用いた実用的臨床検査手法を開発、その正確さを示す実験データとともに発表を行った。
実証研究は、東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科を対象単施設とする探索的観察研究として、糖尿病血糖管理のために入院した患者らの協力により実施された。
入院から3日以内の空腹時、食後の採血・唾液検体と、退院前3日以内の空腹時採血・唾液検体を用い、従来使われる血液検体による高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法の結果と、同時採取した唾液のHPLC法結果との比較、結果に影響しうる交絡因子の解析などを行っている。
これらの結果、1型糖尿病患者、2型糖尿病患者、あわせて56人の各3回における採取検体(合計168検体)のうち、血液量不足2検体、唾液量不足が11検体、分析前処理の不具合4検体、分析後に判明した濃度不足の7検体を除いた計144検体を解析対象とすると、入院時における空腹時採取でR2=0.985、入院時食後2時間での採取でR2=0.973、退院時の空腹時採取でR2=0.979と、唾液GAと血液GAでいずれもきわめて高い決定係数が得られた。
共変量としてBMIや糖尿病腎症のステージによる補正を行った多変量解析でも同じく有意な相関がみられ、これらから手軽な唾液検査により、従来の血液検査による場合とほぼ同等の確度による血糖モニタリングが可能になると結論づけられている。
研究グループでは、この非侵襲的な採取で得られる唾液検体により、従来の臨床検査と同精度のGA検査が可能とし、これまでに提案してきた指頭血の郵送検査手法と組み合わせるなどすれば、将来的には週1回の在宅唾液GAモニタリングとして実用化できると考えているという。
実現すれば、従来の検査法を補完できる、完全非侵襲な糖尿病血糖管理法が新たに生み出されるものとなり、食事・運動療法やその指導もより適切に行いやすくなると見込まれる。
(画像はプレスリリースより)
共変量としてBMIや糖尿病腎症のステージによる補正を行った多変量解析でも同じく有意な相関がみられ、これらから手軽な唾液検査により、従来の血液検査による場合とほぼ同等の確度による血糖モニタリングが可能になると結論づけられている。
研究グループでは、この非侵襲的な採取で得られる唾液検体により、従来の臨床検査と同精度のGA検査が可能とし、これまでに提案してきた指頭血の郵送検査手法と組み合わせるなどすれば、将来的には週1回の在宅唾液GAモニタリングとして実用化できると考えているという。
実現すれば、従来の検査法を補完できる、完全非侵襲な糖尿病血糖管理法が新たに生み出されるものとなり、食事・運動療法やその指導もより適切に行いやすくなると見込まれる。
(画像はプレスリリースより)