◆地域で求められる医療機関の役割も踏まえ
「ポスト2025年」に対応した新たな地域医療構想は、現行構想をバージョンアップし「入院医療だけでなく、外来・在宅医療、介護との連携等を含む、医療提供体制全体の課題解決を図るための構想」とすることが、厚生労働省の検討会で確認されている。現行の構想は、病床の機能分化・連携を推進することに主眼が置かれてきたが、今後85歳以上の高齢者の増加や生産年齢人口の減少がさらに進む40年ごろ、さらにその先も見据えれば、人口動態や医療需要の変化などに対応し、すべての地域・世代の患者が適切な医療を受けられる体制を構築していく必要があるからだ。
そのため、新構想の方向性は次の3つを視点としている。
(1)地域の患者・要介護者を支えられる地域全体を俯瞰した構想
(2)今後の連携・再編・集約化をイメージできる医療機関機能に着目した医療提供体制の構築
(3)限られたマンパワーにおける、より効率的な医療提供の実現
まず(1)では、85歳以上の高齢者の増加に伴う高齢者救急や在宅医療等の医療・介護需要の増大など、40年ごろを見据えた課題に対応するため、入院に限らず医療提供体制全体を対象とした地域医療構想を策定する。(2)では、病床機能だけでなく、急性期医療の提供、高齢者救急の受け皿、在宅医療提供の拠点など、地域で求められる医療機関の役割も踏まえて医療提供体制を構築する。そして(3)では、医療DXや働き方改革の取り組み、地域の医療・介護の連携強化などを通じて、生産性を向上させ、持続可能な医療提供体制モデルを確立する考え。
検討会では、これらの視点に基づく議論を深め、年内の取りまとめを目指す。
そのため、新構想の方向性は次の3つを視点としている。
(1)地域の患者・要介護者を支えられる地域全体を俯瞰した構想
(2)今後の連携・再編・集約化をイメージできる医療機関機能に着目した医療提供体制の構築
(3)限られたマンパワーにおける、より効率的な医療提供の実現
まず(1)では、85歳以上の高齢者の増加に伴う高齢者救急や在宅医療等の医療・介護需要の増大など、40年ごろを見据えた課題に対応するため、入院に限らず医療提供体制全体を対象とした地域医療構想を策定する。(2)では、病床機能だけでなく、急性期医療の提供、高齢者救急の受け皿、在宅医療提供の拠点など、地域で求められる医療機関の役割も踏まえて医療提供体制を構築する。そして(3)では、医療DXや働き方改革の取り組み、地域の医療・介護の連携強化などを通じて、生産性を向上させ、持続可能な医療提供体制モデルを確立する考え。
検討会では、これらの視点に基づく議論を深め、年内の取りまとめを目指す。
◆増大する医療・介護の複合ニーズに対応
新構想で、地域における外来・在宅等も含めた医療提供体制のあるべき姿を検討していく必要性の背景として、厚労省は現状の課題を次のように整理している。
▽25年の病床必要量(合計・機能別)に近付いているが、構想区域・機能ごとに乖離がある
▽将来の病床必要量を踏まえ、各構想区域で病床の機能分化・連携が議論されているが、外来や在宅医療等を含めた、医療提供体制全体の議論が不十分
▽医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上が増大するなか、在宅を中心に入退院を繰り返し、最後は看取りを要する高齢者を支える医療を提供する必要がある。その際、かかりつけ医機能の確保、在宅医療の強化、介護との連携強化等が必要
▽40年までを見ると、都市部と過疎地等で、地域ごとに人口変動の状況が異なる
これらを踏まえ、主な検討事項には▽40年ごろを見据えた医療提供体制のモデル作成▽病床の機能分化・連携のさらなる推進▽地域における入院・外来・在宅等を含めた医療提供体制-を挙げている。
▽25年の病床必要量(合計・機能別)に近付いているが、構想区域・機能ごとに乖離がある
▽将来の病床必要量を踏まえ、各構想区域で病床の機能分化・連携が議論されているが、外来や在宅医療等を含めた、医療提供体制全体の議論が不十分
▽医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上が増大するなか、在宅を中心に入退院を繰り返し、最後は看取りを要する高齢者を支える医療を提供する必要がある。その際、かかりつけ医機能の確保、在宅医療の強化、介護との連携強化等が必要
▽40年までを見ると、都市部と過疎地等で、地域ごとに人口変動の状況が異なる
これらを踏まえ、主な検討事項には▽40年ごろを見据えた医療提供体制のモデル作成▽病床の機能分化・連携のさらなる推進▽地域における入院・外来・在宅等を含めた医療提供体制-を挙げている。
◆今後は外来需要が減少、在宅需要は増加
今後の検討で具体的にどのような論点が想定されるのか、「外来・在宅医療」に注目すると、まず、外来医療、在宅医療、看取りなどについて、地域ごとに現状や将来の需要推計を踏まえ、将来の医療提供体制のあるべき姿をどう描くかが挙げられる。これには現状投影のほか、改革モデルなどの複数シナリオの推計を考えていくことも含まれる。
また、40年ごろを見据えると、地域によって、外来需要は減少または横ばい、在宅需要は増加が見込まれ、一方で医師の高齢化や人材確保などが課題となる。そのなかで、身近な地域で日常的な診療の総合的・継続的実施や在宅医療の提供等を行う「かかりつけ医機能を担う医療機関」や「専門外来中心の医療機関」の連携、地域の病床・介護施設等の資源量も踏まえた在宅医療の強化などを行い、地域で必要な医療機能を確保していくことが求められる。
特に過疎地域では人口減少や医療従事者不足が懸念されるため、地域によって、高齢者の集住やコンパクトシティなどの取り組みと併せ、拠点となる医療機関からの医師派遣、巡回診療、オンライン診療、ヘルスケアモビリティの活用などを図り、必要な医療機能を維持していく必要がある。
また、40年ごろを見据えると、地域によって、外来需要は減少または横ばい、在宅需要は増加が見込まれ、一方で医師の高齢化や人材確保などが課題となる。そのなかで、身近な地域で日常的な診療の総合的・継続的実施や在宅医療の提供等を行う「かかりつけ医機能を担う医療機関」や「専門外来中心の医療機関」の連携、地域の病床・介護施設等の資源量も踏まえた在宅医療の強化などを行い、地域で必要な医療機能を確保していくことが求められる。
特に過疎地域では人口減少や医療従事者不足が懸念されるため、地域によって、高齢者の集住やコンパクトシティなどの取り組みと併せ、拠点となる医療機関からの医師派遣、巡回診療、オンライン診療、ヘルスケアモビリティの活用などを図り、必要な医療機能を維持していく必要がある。
◆介護施設における医療提供も重要な要素に
医療と介護の両面で総合的な全体図を描くことも必要になってくる。それに向けては、地域における介護医療院・老健・特養・高齢者住まい等での医療の提供(日常的な診療、急変時の対応、看取り等)の状況を把握して、医療と介護の連携強化を図ることが重要だ。その際は情報連携、入退院支援の強化、急変時対応の地域ルールづくりなどの対応が求められる。介護施設等における医療の提供について、地域医療構想からどう考えるのかもポイントとなる。
一方で、介護保険事業計画との整合性の確保を進めていく必要がある。その際、介護保険や在宅医療・介護連携推進事業等の運営・実施主体である市町村の役割について、どのように考えるかも検討課題となってくる。
こうした総合的な検討が進められ、新たな構想では、外来医療、在宅医療、介護施設・事業者・住まい等との連携などについて地域(身近な地域)で協議を行うとともに、入院機能について地域(より広い区域)で協議を行い、全体を都道府県単位で統合・調整することにより、地域の医療提供体制全体の将来ビジョンが示されることになる。
一方で、介護保険事業計画との整合性の確保を進めていく必要がある。その際、介護保険や在宅医療・介護連携推進事業等の運営・実施主体である市町村の役割について、どのように考えるかも検討課題となってくる。
こうした総合的な検討が進められ、新たな構想では、外来医療、在宅医療、介護施設・事業者・住まい等との連携などについて地域(身近な地域)で協議を行うとともに、入院機能について地域(より広い区域)で協議を行い、全体を都道府県単位で統合・調整することにより、地域の医療提供体制全体の将来ビジョンが示されることになる。