入所者など34人に症状
長野県は6月28日、諏訪保健所管内の社会福祉施設でウエルシュ菌による食中毒が発生したと発表した。施設内で調理・提供された食事を喫食した入所者ら、85人中34人に症状が発現している。
食中毒が発生したのは、諏訪市中洲の社会福祉施設「ウィズ諏訪」。発表によると、6月21日の午前9時30分頃、同施設の職員から諏訪保健所に対し、「施設の給食を食べている入所者60人中30人が昨夜から下痢症状を呈している」との連絡があったという。
この連絡を受け、保健所が調査を開始、患者は6月20日に「ウィズ諏訪」で調理、提供された食事を喫食した85人中34人で、同日の午後6時頃から、下痢や腹痛、嘔吐、発熱といった症状が出ていたことが判明した。
患者らの共通した食事は、施設で提供された給食であり、松本保健所が詳しい検査を行ったところ、患者の便と調理従事者の便からウエルシュ菌が検出された。
患者の発症状況は、ウエルシュ菌による食中毒の典型的な例と一致しており、患者の診察にあたった医師から食中毒の届出も出されたため、諏訪保健所は「ウィズ諏訪」で調理、提供された食事を原因とするウエルシュ菌食中毒が発生したものと断定した。
なお、原因施設と断定された「ウィズ諏訪」に関しては、同施設の給食業務委託事業者に対し、6月28日~6月29日までの2日間の営業停止処分が命じられている。
食中毒が発生したのは、諏訪市中洲の社会福祉施設「ウィズ諏訪」。発表によると、6月21日の午前9時30分頃、同施設の職員から諏訪保健所に対し、「施設の給食を食べている入所者60人中30人が昨夜から下痢症状を呈している」との連絡があったという。
この連絡を受け、保健所が調査を開始、患者は6月20日に「ウィズ諏訪」で調理、提供された食事を喫食した85人中34人で、同日の午後6時頃から、下痢や腹痛、嘔吐、発熱といった症状が出ていたことが判明した。
患者らの共通した食事は、施設で提供された給食であり、松本保健所が詳しい検査を行ったところ、患者の便と調理従事者の便からウエルシュ菌が検出された。
患者の発症状況は、ウエルシュ菌による食中毒の典型的な例と一致しており、患者の診察にあたった医師から食中毒の届出も出されたため、諏訪保健所は「ウィズ諏訪」で調理、提供された食事を原因とするウエルシュ菌食中毒が発生したものと断定した。
なお、原因施設と断定された「ウィズ諏訪」に関しては、同施設の給食業務委託事業者に対し、6月28日~6月29日までの2日間の営業停止処分が命じられている。
入院患者はなく全員快方に向かう
患者にみられた症状は、下痢、腹痛、嘔吐、発熱といったもので、患者内訳としては、70歳代~80歳代以上の男性が7人、20歳代~80歳代以上の女性が27人と報告された。
入院に至った患者はなく、みな往診により受診し、快方に向かっている。
原因食材は特定されていないが、6月20日に提供された食事とみられ、この日のメニューは、朝食が「ごはん、なすのそぼろあん、黒豆、味噌汁、コーヒー牛乳」、昼食が「ごはん、豚のおろし焼肉、ひじきの煮付け、春菊のゴマ和え、吸物」、夕食は「ご飯、五目卵焼き、花野菜のくず煮、チンゲン菜土佐和え、味噌汁」だった。
ウエルシュ菌は、ヒトや動物の腸管、土壌など自然界に広く住み着いている嫌気性菌。熱や乾燥にきわめて強い芽胞と呼ばれる胞子のような形態をとることがあり、こうなると高温で加熱しても死滅せず、菌が生き残る。
食品を大釜などで大量に調理すると、食品中心部が酸素のない状態となり、嫌気性のウエルシュ菌にとって好ましい環境になる。そして芽胞の状態で生き残ったウエルシュ菌が、発育しやすい45度前後の温度に低下すると発芽、活発に発育・増殖を始める。
こうして食品中に大量増殖したウエルシュ菌が、食べ物とともに摂取され、胃を通過して小腸内で増殖、菌が芽胞型に移行する際、エンテロトキシンと呼ばれる毒素が産生され、この作用によって下痢などの食中毒症状が出る。
潜伏期間は6~18時間と比較的短く、水様性の下痢と腹痛が主な症状になる。多くは軽症で1~2日のうちに回復し、特別な治療は必要ない。
発生を予防するには、加熱したものだから大丈夫という過信に陥らず、大量に調理したカレーやシチュー、野菜の煮物といったものは調理後、なるべく早く食べるようにする。どうしても大量に作って保存する場合には、ウエルシュ菌が増殖しやすい45度前後の温度で長く放置しないようにし、小分けして急速冷却(15度以下)、冷蔵もしくは冷凍保存する。
食品を温め直す際には、かき混ぜながら十分に空気を入れて中心部まで火が通るようにすることが推奨されている。
(画像はPixabayより)
入院に至った患者はなく、みな往診により受診し、快方に向かっている。
原因食材は特定されていないが、6月20日に提供された食事とみられ、この日のメニューは、朝食が「ごはん、なすのそぼろあん、黒豆、味噌汁、コーヒー牛乳」、昼食が「ごはん、豚のおろし焼肉、ひじきの煮付け、春菊のゴマ和え、吸物」、夕食は「ご飯、五目卵焼き、花野菜のくず煮、チンゲン菜土佐和え、味噌汁」だった。
ウエルシュ菌は、ヒトや動物の腸管、土壌など自然界に広く住み着いている嫌気性菌。熱や乾燥にきわめて強い芽胞と呼ばれる胞子のような形態をとることがあり、こうなると高温で加熱しても死滅せず、菌が生き残る。
食品を大釜などで大量に調理すると、食品中心部が酸素のない状態となり、嫌気性のウエルシュ菌にとって好ましい環境になる。そして芽胞の状態で生き残ったウエルシュ菌が、発育しやすい45度前後の温度に低下すると発芽、活発に発育・増殖を始める。
こうして食品中に大量増殖したウエルシュ菌が、食べ物とともに摂取され、胃を通過して小腸内で増殖、菌が芽胞型に移行する際、エンテロトキシンと呼ばれる毒素が産生され、この作用によって下痢などの食中毒症状が出る。
潜伏期間は6~18時間と比較的短く、水様性の下痢と腹痛が主な症状になる。多くは軽症で1~2日のうちに回復し、特別な治療は必要ない。
発生を予防するには、加熱したものだから大丈夫という過信に陥らず、大量に調理したカレーやシチュー、野菜の煮物といったものは調理後、なるべく早く食べるようにする。どうしても大量に作って保存する場合には、ウエルシュ菌が増殖しやすい45度前後の温度で長く放置しないようにし、小分けして急速冷却(15度以下)、冷蔵もしくは冷凍保存する。
食品を温め直す際には、かき混ぜながら十分に空気を入れて中心部まで火が通るようにすることが推奨されている。
(画像はPixabayより)