学び
令和8年度 診療報酬改定のポイント~栄養関連~
令和8年度の診療報酬改定は前回(令和6年度)からの流れを引継ぐように、栄養関連項目は現場の意見(実情)も取り入れられ算定しやすい形(要件見直し)となりました。医療関連で栄養が果たす役割や問題を解決するには、現場で働く管理栄養士・栄養士が今まで以上に取り組む(解決する)ことを国が求めていることがわかります。
ここでは栄養関連項目から見た「令和8年度診療報酬改定のポイント」についてお話し致します。
詳細については厚生労働省や日本栄養士会のホームページなど、さまざまなサイトにて情報発信されていますので必ず目を通してください。
目次
- 1.はじめに
- 2.令和8年度診療報酬改定、栄養関連11のポイント
- 1)入院時の食費及び光熱水費【見直し】
- 2)嚥下調整食を特別食加算の対象として評価【新設】
- 3)特別料金の支払いを受ける食事の明確化
- 4)地域包括医療病棟入院料 リハ・栄養・口腔連携加算1・2【要件見直し】
- 5)看護・多職種協働加算1・2【新設】
- 6)経腸栄養管理加算【要件見直し】
- 7)入院栄養管理体制加算【専従要件見直し】
- 8)心不全再入院予防継続管理料【新設】
- 9)情報通信機器を用いた外来栄養食事指導料【要件明確化】
- 10)退院後訪問栄養食事指導料【新設】
- 11)栄養保持を目的とした医薬品の保険給付の適正化
- 3.最後に
- 執筆者・編集者
- 執筆者
- 編集者
1.はじめに
栄養サポートチーム加算から15年、図のように本当に多くの栄養関連項目が挙げられ、急性期、慢性期、回復期それぞれに共通する内容や、入院から在宅までシームレスな栄養管理を行うことが求められております。
それでは診療報酬改定について栄養関連項目を確認してみましょう。
2.令和8年度診療報酬改定、栄養関連11のポイント
令和8年度診療報酬改定では、栄養関連で11か所の改定となりました。新設が4か所、見直しが4か所、明確化が2か所、適正化が1か所です。1つずつ見ていきましょう。
1)入院時の食費及び光熱水費【見直し】
昨今のコメ、小麦、植物油などの高騰は、私たち給食を提供する者たちの大きな悩みとなっています。2021年以降日本の消費者物価指数は約3%/年ずつ上昇し続けております。(2020年を基準として総合指数:2025年平均111.9%)
入院時の食費の基準は2024年に+30円、2025年に+20円、今回+40円と3年間で+90円/食(全て患者負担)と、物価に合わせ112.3%の上昇です。給食業務従事者の人件費については本改定の物価や賃金、人手不足等の対応に含まれております。
患者さまにとって自己負担の上昇は「550円/食支払っているのに」という気持ちが強く、私たちはしっかりと給食の質を保つように努力し続けなければなりません。
患者さまにとって自己負担の上昇は「550円/食支払っているのに」という気持ちが強く、私たちはしっかりと給食の質を保つように努力し続けなければなりません。
2)嚥下調整食を特別食加算の対象として評価【新設】
今回の改定で一番注目される「嚥下調整食」が特別食になるという項目は、厨房において調理加工に人手と時間を必要とする食事が大きな加算になると期待されました。
しかし、「嚥下調整食」算定基準は「現在提供されている嚥下調整食は本当に安全で嚥下しやすくしっかりと調整されており、常食と同等に見た目や栄養量が満たされていますか?」と改めて問われた形になります。
多くの施設では軟菜食や分粥食をきざみ、トロミ剤でまとめたり(嚥下2-2~嚥下3)、ロボクープでペースト状(嚥下2-1)に加工、トロミ剤で調整したりして提供しておりますが、栄養量だけではなく加水により見た目や味、香りが低下します。そのような「嚥下調整食」としての食形態は「安全・おいしい・栄養」と言えません。
今後は「嚥下調整食」の基準を担保するため、当該保険施設の管理栄養士が毎日の検食、責任者として指定された実習を伴う10時間程度の研修(修了証)を取得していることなどが条件となります。
しかし、「嚥下調整食」算定基準は「現在提供されている嚥下調整食は本当に安全で嚥下しやすくしっかりと調整されており、常食と同等に見た目や栄養量が満たされていますか?」と改めて問われた形になります。
多くの施設では軟菜食や分粥食をきざみ、トロミ剤でまとめたり(嚥下2-2~嚥下3)、ロボクープでペースト状(嚥下2-1)に加工、トロミ剤で調整したりして提供しておりますが、栄養量だけではなく加水により見た目や味、香りが低下します。そのような「嚥下調整食」としての食形態は「安全・おいしい・栄養」と言えません。
今後は「嚥下調整食」の基準を担保するため、当該保険施設の管理栄養士が毎日の検食、責任者として指定された実習を伴う10時間程度の研修(修了証)を取得していることなどが条件となります。
3)特別料金の支払いを受ける食事の明確化
入院患者さまに季節を感じていただく毎月の行事食や、楽しみを目的とした選択メニューを実施する施設の多くは、サービスとして特別料金なしで実施されています。今回の改定は選択メニューの特別料金標準額(17円/食)は撤廃され、行事食やハラール食などに配慮した食事を別に用意した場合も選択メニューと同様に、特別な料金を受ける食事として対象になりました。
多くの病院ではイスラム教(主に豚肉を禁忌とする)やヒンドゥー教(主に牛肉・豚肉を禁忌とする)の方が入院された際は、個々に禁止食材が異なる(アルコールやアミノ酸など調味料関連)ため個別対応が必要となりますが、今後は特別メニューに同意されることで特別料金を請求することができます。(ただし、同意されない場合でもハラール対応の食事を提供しなくても良いということではありません。)
多くの病院ではイスラム教(主に豚肉を禁忌とする)やヒンドゥー教(主に牛肉・豚肉を禁忌とする)の方が入院された際は、個々に禁止食材が異なる(アルコールやアミノ酸など調味料関連)ため個別対応が必要となりますが、今後は特別メニューに同意されることで特別料金を請求することができます。(ただし、同意されない場合でもハラール対応の食事を提供しなくても良いということではありません。)
4)地域包括医療病棟入院料 リハ・栄養・口腔連携加算1・2【要件見直し】
前回より新設されたリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算については、チーム医療として入院早期から取り組むことにより、誤嚥性肺炎時の経口摂取再開や嚥下機能の回復が早まることが証明され、今回は更に取り組みやすいように要件が見直されました。
【参考】
リハ・栄養・口腔連携体制加算の要件見直しにより、地域包括医療病棟においても算定でき、患者さまに対して包括(まるめ)算定されていた入院栄養食事指導料と、栄養情報連携料を別途算定できるメリットが加わりました。(260点+70点)
5)看護・多職種協働加算1・2【新設】
入院栄養管理体制加算の対象施設で取り組まれた病棟配置は、多職種が協働することにより医療の質を維持することが求められ、看護師の確保が難しい地域でも急性期医療を維持できるように「看護・多職種協働加算」が新設されました。管理栄養士はミールラウンドなどを活用して、入院患者の栄養状態を管理(栄養ケアマネジメント)します。
6)経腸栄養管理加算【要件見直し】
栄養療法の基本として、腸管が使用できる場合は中心静脈栄養よりも経腸栄養が優先されます。しかし経腸栄養を開始すると投与時に喀痰が増える(吸引作業の増加)など、療養上の管理が増加するために、中心静脈栄養を継続されるケースが見受けられます。
今回の改定により経腸栄養管理へ移行しやすい要件見直しとなりました。
今回の改定により経腸栄養管理へ移行しやすい要件見直しとなりました。
7)入院栄養管理体制加算【専従要件見直し】
入院栄養管理体制加算の専従要件が緩和されました。病棟での栄養管理業務に支障がない範囲で該当する病棟から退院した患者さまの外来栄養食事指導等が行えるため、病棟から外来(在宅)までシームレスな栄養管理、継続的な栄養食事指導の支援ができるようになりました。
8)心不全再入院予防継続管理料【新設】
慢性心不全患者は胸水貯留など入退院を繰り返しADL低下、治療による身体的負荷を招きます。管理栄養士は、入院から外来(在宅)まで栄養食事指導を通してチーム医療で再入院を予防することが重要になります。
9)情報通信機器を用いた外来栄養食事指導料【要件明確化】
コロナ禍において対面での栄養食事指導が難しい際に、オンラインミーティングや電話を使用して、患者さまの栄養状態を把握した指導を行いました。今回の改定では情報通信機器を用いた機器による指導点数が明確化され、外来栄養食事指導で2回目以降に電話を活用した場合など、保険点数は下がりましたがサポートがしやすい要件となり、活用しやすくなりました。
10)退院後訪問栄養食事指導料【新設】
退院して外来栄養食事指導や在宅患者訪問栄養食事指導を在宅療養で行うまでに、独居や老々介護などの環境変化により入院時に維持された栄養状態が低下するなど、短期間に再入院(誤嚥性肺炎等)されるケースがあります。この問題に対応するため入院から在宅までをシームレスに管理できる「退院後訪問栄養食事指導料」が新設されました。入院時に栄養管理を行っていた医療機関から出向くため栄養状態の把握がしやすく、環境変化によって生じる問題を早期に解決するなど、安心して在宅生活を送ることができます。
11)栄養保持を目的とした医薬品の保険給付の適正化
栄養保持を目的とした医薬品の保険給付の適正化は、自費へ移行する方向で検討されておりました。食事量が落ちた患者さまに対して、安易に経腸栄養剤を処方することが、栄養保持(管理)されているのか問われています。
入院時の食事摂取が5割以下の場合栄養介入し、ONS(Oral Nutrition Supplement:経口的栄養補助)などを活用して栄養量を維持しやすい食事を提供します。退院後はONSをドラッグストアなどで購入(食品のため全額自己負担)しますが、経済的な理由で継続投与できない場合もあります。
このようなケースで医師が栄養保持を目的として経腸栄養剤等を処方する場合、投与が必要であることを明記(処方箋や診療報酬明細書)することで、今まで通り保険給付が継続されることとなりました。管理栄養士も外来栄養食事指導の際に、栄養状態を評価することが大切です。
入院時の食事摂取が5割以下の場合栄養介入し、ONS(Oral Nutrition Supplement:経口的栄養補助)などを活用して栄養量を維持しやすい食事を提供します。退院後はONSをドラッグストアなどで購入(食品のため全額自己負担)しますが、経済的な理由で継続投与できない場合もあります。
このようなケースで医師が栄養保持を目的として経腸栄養剤等を処方する場合、投与が必要であることを明記(処方箋や診療報酬明細書)することで、今まで通り保険給付が継続されることとなりました。管理栄養士も外来栄養食事指導の際に、栄養状態を評価することが大切です。
3.最後に
診療報酬改定の歴史(20年)を振り返ると、多くの栄養関連項目が新設され、管理栄養士の活躍の場は拡大しております。今回の改定は実際の運用時に起きた問題点を把握し、要件見直しという業務に沿った形に修正され、より算定しやすい環境となりました。
診療報酬の栄養管理改定キーワードは、入院から在宅までシームレスな管理と、医療従事者の人員不足に対して、多職種が協働し専門分野で効率化することが求められております。
今年も物価高騰、人件費高騰により給食管理業務の継続が危ぶまれ、今後も労働人口は減少します。将来の管理栄養士、栄養士は給食経営管理の業務効率化を行い、病院給食を安定化して、患者さまのためにチーム医療の一翼を担うことが重要です。
診療報酬の栄養管理改定キーワードは、入院から在宅までシームレスな管理と、医療従事者の人員不足に対して、多職種が協働し専門分野で効率化することが求められております。
今年も物価高騰、人件費高騰により給食管理業務の継続が危ぶまれ、今後も労働人口は減少します。将来の管理栄養士、栄養士は給食経営管理の業務効率化を行い、病院給食を安定化して、患者さまのためにチーム医療の一翼を担うことが重要です。
執筆者・編集者
執筆者
執筆者:岡村康平

医療法人 徳洲会 野田総合病院 栄養科 科長/管理栄養士
東京慈恵会医科大学付属病院の栄養部にて16年間、臨床栄養やNST(栄養サポートチーム)、糖尿病療養指導に従事。その後、特別養護老人ホームでの栄養ケアマネジメント、健診事業での特定健診保健指導の立上げや健診データの分析(受診勧奨)などを経て、現在は総合病院の栄養科長を務める。臨床現場での豊富な経験と管理栄養士養成校の臨地訓練受け入れや外部講師など、後進の育成にも尽力している。
■所属学会・協会
公益社団法人 日本栄養士会
一般社団法人 日本栄養経営実践協会
一般社団法人 日本病態栄養学会
■保有資格
栄養経営士
病態栄養専門管理栄養士
第一種衛生管理者
編集者
編集者:渡部 早紗

管理栄養士・編集者
元 総合病院・給食受託会社勤務。総合病院での直営給食・臨床業務を経て、給食受託会社のエリア指導員として従事。厨房の突発対応やアレルギー管理の緊張感、調理スタッフのマネジメントなど、現場の「リアルな悩み」を熟知している。 自身の転職経験や失敗談をもとに、現在はフリーランスとして活動。同業者に向けて、キャリアの選択肢や、明日から使える現場の知恵を「温かい言葉」で届けることをモットーに執筆・編集を行う。
参考文献・サイト
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公益社団法人日本栄養士会 令和8年度診療報酬改定の概要(栄養関連部分の主な変更点)
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厚生労働省 令和8年度診療報酬改定説明資料等について
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0_令和8年度診療報酬改定の概要【全体概要版】
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00_令和8年度診療報酬改定の概要【医科全体版】
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独立行政法人労働政策研究・研修機構 早わかり グラフでみる長期労働統計 Ⅵ 物価、家計
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厚生労働省 令和7年度第5回入院・外来医療等の調査・評価分科会 議事次第
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厚生労働省 令和7年度第5回入院・外来医療等の調査・評価分科会 議事次第 令和7年6月27日 入ー1
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日本栄養士会 令和8年度診療報酬改定に関する研修会・オンライン
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厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 6.入院(共通事項)
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