味細胞のシナプス不全で酸味応答が異常に
国立大学法人岡山大学は18日、同大学学術研究院医歯薬学域(歯)口腔生理学分野の堀江謙吾助教、吉田竜介教授らの研究グループが、味細胞で特異的にシナプス関連遺伝子を欠損させたマウスを作成し、味細胞におけるシナプスの機能的役割について調査、味覚障害のメカニズムの一端を明らかにしたことを発表した。
この研究成果は、生理学系専門学術誌「The Journal of Physiology」に掲載されている。
味覚の味の質に関しては、現状5つの基本の味、甘味・うま味・塩味・苦味・酸味があるとされ、これらを感じる細胞(味細胞)は、舌や軟口蓋、咽頭部などに存在し、口の中の味物質を検知して情報を神経へと伝達しているとみられる。
これまでの研究により、一般に神経間の情報伝達の場となる化学シナプスの構造は、一部の味細胞にのみ見られることが明らかになっていたが、実際に味細胞の化学シナプスが味情報の伝達にどのように関与するのかは明らかになっていなかった。
研究グループでは、まず化学シナプスにおける神経伝達物質の放出に関わる複数のたんぱく質のうち、味細胞での発現が明らかになっているSNAP25について、味細胞で特異的に欠失するマウスを作成、各種味刺激に対するマウスの応答を調べていった。
すると、この味細胞シナプス不全マウスでは、クエン酸や酢酸、HClなどの酸味刺激に対する応答が消失したものの、ショ糖(甘味)やグルタミン酸ナトリウム(うま味)、NaCl(塩味)、キニーネ(苦味)に対する神経応答は通常マウスと変わらないことが確認された。
この研究成果は、生理学系専門学術誌「The Journal of Physiology」に掲載されている。
味覚の味の質に関しては、現状5つの基本の味、甘味・うま味・塩味・苦味・酸味があるとされ、これらを感じる細胞(味細胞)は、舌や軟口蓋、咽頭部などに存在し、口の中の味物質を検知して情報を神経へと伝達しているとみられる。
これまでの研究により、一般に神経間の情報伝達の場となる化学シナプスの構造は、一部の味細胞にのみ見られることが明らかになっていたが、実際に味細胞の化学シナプスが味情報の伝達にどのように関与するのかは明らかになっていなかった。
研究グループでは、まず化学シナプスにおける神経伝達物質の放出に関わる複数のたんぱく質のうち、味細胞での発現が明らかになっているSNAP25について、味細胞で特異的に欠失するマウスを作成、各種味刺激に対するマウスの応答を調べていった。
すると、この味細胞シナプス不全マウスでは、クエン酸や酢酸、HClなどの酸味刺激に対する応答が消失したものの、ショ糖(甘味)やグルタミン酸ナトリウム(うま味)、NaCl(塩味)、キニーネ(苦味)に対する神経応答は通常マウスと変わらないことが確認された。
深まる味覚の不思議
味溶液に対する行動応答でも、味細胞シナプス不全マウス(欠失マウス)では、酸味に対する忌避応答が減弱していた。また、このマウスの味蕾組織を調べたところ、酸味受容細胞の数が減少しており、酸味受容細胞の維持に異常をきたしていることも判明した。
味覚障害にはさまざまなタイプがあり、特定の味だけを感じにくくなるような解離性味覚障害も存在する。今回の結果は、酸味特異的味覚障害の原因に、味細胞のシナプス異常が関連する可能性を示唆している。
また、味覚の情報処理には、複数の神経メカニズムが関与することも分かった。
5つの基本味のうち、なぜ酸味を感じる味細胞だけが化学シナプスを利用しているのか、他の味を感じる味細胞との違いは何かなど、まだ不明な点も多いが、味覚の不思議に迫る最新研究結果として注目される。
(画像はプレスリリースより)
味覚障害にはさまざまなタイプがあり、特定の味だけを感じにくくなるような解離性味覚障害も存在する。今回の結果は、酸味特異的味覚障害の原因に、味細胞のシナプス異常が関連する可能性を示唆している。
また、味覚の情報処理には、複数の神経メカニズムが関与することも分かった。
5つの基本味のうち、なぜ酸味を感じる味細胞だけが化学シナプスを利用しているのか、他の味を感じる味細胞との違いは何かなど、まだ不明な点も多いが、味覚の不思議に迫る最新研究結果として注目される。
(画像はプレスリリースより)