わかっていても、つい…。隣の食事が気になったり、スーパーの陳列棚の前でじっくり新商品のラベルチェックなど、もはや職業病なのかもしれない栄養士のあんなこと、こんなことを、皆さんのアンケートから紹介します。
自分が栄養士だなぁと実感するのは…
・・・無意識のうちに、そんなことができるなんて、実はとてもすごいことですよね!
栄養士になって良かったと思うときは…
・・・なるほど。それは素敵なことですね。ごちそうさま!
いま、気になっていることは何ですか?
関心のあるトピックは「子どもの食育」が55%でトップでした。2005年に食育基本法が成立して一躍メジャーになった「食育」というキーワードがすっかり定着し、今では食の専門家たちの間でもメインテーマとなっていることがうかがえます。特に子育て世代でもある30代では67%の方が「関心がある」と回答、次世代を担う子どもたちに託す思いが感じられる結果となりました。
その他に「うま味・うま味調味料の活用等」を挙げた人は全体では25%でしたが、20代では37%が「関心がある」と回答、若い世代の関心度が高いことがわかりました。
これから取り組んでいきたいことは?
やはり多くの栄養士・管理栄養士が直面しているのが「減塩」でした。「塩分の過剰摂取」に取り組んでいきたい人が64%と最も多くの割合を占めました。「高齢者のロコモ・フレイル」「野菜の摂取不足」「高齢者の喫食量減少」を挙げた人は全体の50〜60%と、栄養指導や食事業などの現場で働く皆さんの課題意識が高いことがうかがえます。
関心あるトピック
関心ある栄養課題
健康長寿社会を実減するためには「減塩」がマストです
2019年12月、厚生労働省の「『日本人の食事摂取基準』策定検討会」がまとめた報告書は、日本が直面している高齢化社会の現実を見せつけられるような内容でした。今回の焦点になったのは「活力ある健康長寿社会」。特に高齢化による栄養課題に向き合うためには、若いうちからの栄養面での対策について、思い切った提言がされています。皆さんはすでに現場で向き合われていることと思いますが、なかでもナトリウム(食塩相当量)については従来の基準より厳しい設定で、成人の目標量をこれまでより、1日あたり0.5gを引き下げ、男性が1日7.5g未満、女性が1日6.5g未満(日本人の食事摂取基準(2020年版))となりました。
実態を調べた「平成30年国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によると、1日の食塩摂取量(食塩相当量換算)は平均で男性11.0g、女性9.3gとなっており、目標量より男性で3.5g、女性で2.8gも多く摂取していることが明らかになりました。加えて、ここ数年の食塩摂取量は下げ止まりになっているという事実も考えると、これ以上の減塩はまさに目の前に立ちはだかる大きな「壁」。現場の栄養士・管理栄養士の皆さんにとって、小さじ1の重さは相当なものでしょう。
ちなみにWHO(世界保健機関)は、世界中の人々の食塩摂取目標を1日5gと設定しており(!)、日本の公的な基準でも近い将来、6g未満を目指していく方向であることは見逃せません。
「減塩=おいしくない」というメニューはNGという現実
塩分の摂りすぎは健康を損なうなどの原因になりやすいというエビデンスがある一方で、「塩気が少ないと、おいしく感じない」という人が多いのも事実です。地域や世代によっても異なりますが、高齢者施設などでは、減塩メニューだと食べ残しが多く出てしまうなどの経験があるみなさんも多いのでは。悩みは尽きません。
「減塩」と「おいしい」を両立すべく、
さまざまなアイデアが実践されています
そんな中でも、レシピ作成や調理、栄養指導を実際に行うときに、どのような工夫をしているのでしょうか。
香りを上手に利用する、味にメリハリをつけるなど、おいしいと感じさせるテクニックがいろいろあるのですね。皆さんが試行錯誤を経て実践しているさまざまなやり方は、とても興味深いものでした。これからのテーマは「減塩しても、いかにおいしく感じてもらうか」であることは明らかです。「おいしく減塩」をキーワードに、食の未来を考えていきましょう。
いかがでしたでしょうか?今後、「おいしく減塩」の極意や、あの先生のインタビュー、「おいしく減塩」実践レシピも紹介していきますので、お見逃しなく! 次回の配信日は10月21日(水曜日)です。