委託業者もいろいろです
わたしは直営から委託へと、現在の会社に行き着くまで4社経験しています。
今までに感じたことを書きたいと思います
1.契約条件について
委託会社には、「契約社員」というあいまいな契約条件があります。
中途採用者のほとんどは契約社員です。
わたしも当然中途採用者でしたので、管理栄養士であっても職能手当てはなく
ボーナスさえありませんでした。
新卒の栄養士のほうが、管理栄養士のわたしよりも給与が高いという状況でした。
会社によっては契約社員を準社員と呼ぶようですが
ほとんど月給制度で1年ごとの契約更新となっていると思います。
(よほどのことがなければ自動的に更新されますけど)
しかし、コンペで直営施設を吸収したときには、施設側との契約条件で
ほぼ全従業員が前会社の契約条件のままで転籍してきましたので
社員は社員のままでした。
その意味では、直営から委託に転籍しても労働条件はさほど変化しないと思います。
ただしこれも入社後の勤務状態では評価が下がって、減給に繋がることもありますので
直営時よりもさらに努力は必要かと思います。
わたしは今の会社で運良く正社員に昇格できましたが、年収は100万以上差がありますよ。
病院に勤務していたときには、直営時代からのパートさんが多かったですが
パートでも毎年昇給があったので、委託になってから入社したパートとは時給にかなりの格差がありました。
委託会社ではパート、契約社員にはほとんど昇給がないと思います。
そういう意味では、委託化することでコストダウンできるメリットがあるのでしょう。
有給休暇は直営も委託もありますが、委託は栄養士の配置人員も少ないので
休むとただ自分の首を絞めるだけです(苦笑)
病院時代、直営栄養士は3人いましたが、3人がそろって出勤していることはほとんどなく毎日誰かが休みを取っている状況で、うらやましく思いました。
2.業務内容
直営のときは、原価計算もしましたが、栄養価、見た目、彩りなどを重要視すると
多少原価が上がってもあまり気にしていませんでした。
しかし、委託では業績を重視します。
施設側との契約条件で決められている予算、原価を守ることが絶対です。
施設側が委託化するメリットは、赤字経営にならないということです。
通常業者が変わると利用者はいい方向に改善されると期待しますが
たぶんそれはないと考えていいと思います。
施設側の管理費が削減されている中での見積もりだからです。
食材費が下げられている条件では以前と同じような献立を提供するのは不可能です。
自社の物流センターでは大量一括購入することで食材を安く配給していますが
それでも予算の関係でなかなか前業者以上のものを提供するのは難しく
その分、利用者にサービスを向上させる努力で補うようにしているのが実状でしょう。
メニューも各社使用している栄養ソフトが違いますから
以前使用していた食材が使えなくなったとか、逆にコレを使っちゃってもいいの?と
調理員からも驚かれた経験があります。
現在の会社では本社の営業推進部からサイクルメニューが配信されており
献立作成業務が簡素化しています。
レシピを入力するだけで、栄養価、原価はもちろんのこと、アレルギー表示、プライスカードさえ作成できます。
ただし、直営栄養士でないと栄養ケア・マネジメントはできないと考えていいと思います。
衛生管理は、たぶん直営以上に厳しいマニュアルが存在しています。
衛生事故が起これば契約破棄となる可能性が高いからです。
危機管理は、直営よりもはるかに意識が高いと思います。
研修や教育が充実していて、管理栄養士試験のための講座があったり
栄養士育成には非常に力を入れています。
委託業者もいろいろです。
よくコンペの提案書を検討し、また実際に見学に行き、一番良心的な会社を選ぶことが必要だと思います。
くれぐれも価格だけで選ばないようにしてください。
ある程度の予算がなければ、いい給食提供はできません。
施設側に価格を叩かれ受託した場合、施設利用者も、委託側で働く従業員も
本当に不幸です。
2008/10/12