2016年の震災からわずか10年。再び大地震に見舞われた熊本県。
亡くなられた方のご冥福をお祈り申しあげるとともに、
被災地のすべてのみなさまに心からお見舞い申しあげます。
かつて経験したことがないような猛暑のなかでの避難生活の過酷さに心を痛めています。
国際NPO、赤十字・赤新月社、WHOや国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの
国際機関は、被災者の生命と安全を守る支援を行うための「スフィア基準」を共有しています。
その基準には、「災害や紛争により影響を受けたすべての人びとは尊厳をもって
生きる権利と人道支援を受ける権利を持っている」と明記されています。
保健医療だけでなく、水と衛生(トイレとゴミ)、食糧と栄養、住居などの
居住空間の重要性を強調しています。避難所内の居住空間については、
一人当たり3.5m2 の居住スペースが最低基準です。
私自身は、1990年にパキスタンの難民キャンプで国連職員として活動し、
その後は国際緊急援助隊医療チームやNPOの一員として国際緊急人道支援に参加してきました。
熱帯気候や乾燥地帯などの厳しい気象条件のなかで、
地域の特性や文化に配慮した支援を目指してきました。
今回の熊本地震において、体温を超すような猛暑のなかでの避難生活による
災害関連死の増加を危惧しています。
災害関連死は「防ぐことのできる死」です。過酷な状況だからこそ、
社会的な弱者をだれひとり取り残されることなく命を守る必要があります。
実際、小児医療の分野では、被災地の新生児や医療的ケア児に関して
ひとりひとりのニーズに寄り添った支援が行われています。
大災害直後における猛暑や酷暑への対応策として、避難所や在宅避難者への熱中症予防や
見守りが行われていますが、本来は、個々人の努力と工夫にゆだねるのではなく、
政府や行政が責任をもつべき社会的施策です。文部科学省の報告によれば、
2026年現在熊本県の公立小中学校の普通教室は100%の空調設置率です。
地域のなかに空調が整備されている公的空間がこれだけ揃っているのは、
日本が持つ大きな財産です。
これらを開放して、地域の中にある「涼める居場所」で世代を超えて被災した人たちが
憩える場となったらいいなと思います。
また、ホテルなどの宿泊施設への2次避難の受け付けも始まりました。
「涼める居場所」で過ごすことにより、高齢者、障がいや疾病のある方々、
妊産婦や乳幼児をはじめ、大地震を生き延びた人びとが、
その後の避難生活のなかでいのちを落とすことなく、猛暑の夏を過ごされることを祈念します。
公益社団法人 日本WHO協会
理事長 中村 安秀
https://japan-who.or.jp
【追記:2026/08/27 19:05】
金子 恭之さんは国土交通省にいます。
【 自宅敷地内への建設型応急住宅のご案内 】#令和8年熊本地震 で住宅が被災し、自宅を離れることが難しい被災者の方々のため、自宅敷地内への #応急住宅 の設置に向けた取組が始まりました。 #熊本県 のHPでも詳しい内容を確認できますので、ご覧ください。
http://pref.kumamoto.jp/soshiki/27/278?fbclid=IwY2xjawT86uxwZG9mBWV4dG4DYWVtAjEwAGJyaWQRMVRwdUxKa0tpVzBFdHdCZzBzcnRjBmFwcF9pZBAyMjIwMzkxNzg4MjAwODkyAAEetZCD6De8h46WBol7j4PWxwk-ZStHNJDCgqxEo5WCxASsPMbC-ZKPXvAt_80_aem_rCGzF7FgOlVG9GMWJP1KLA
【追記:2026/08/27 19:07】
【Media Coverage】
An article featuring AAR Japan’s efforts to support foreign residents affected by the Kumamoto Earthquake through the use of “Easy Japanese” is now available in English on JAPAN Forward.
Please read the article below▼
https://japan-forward.com/easy-japanese-yasashii-nihongo-foreign-residents-access-information/?fbclid=IwY2xjawT864xwZG9mBWV4dG4DYWVtAjExAHNydGMGYXBwX2lkEDIyMjAzOTE3ODgyMDA4OTIAAR4CuXIbvKy1NQXbOrRrPfGAKU8lyEmcliEJ90dgSyC6v-3gIWlILVgHqev9yg_aem_uFpJ2JeIf3PuxghrMiv5ZQ
【追記:2026/08/27 20:51】
戸谷 剛
防災は「整備したか」ではなく「届いたか」で測る
――要配慮者支援から考える、これからの災害対応
2026年8月27日
8月27日早朝、富山県氷見市と石川県羽咋市、志賀町、宝達志水町、中能登町にレベル5大雨特別警報が発表された。消防庁は応急体制を強化し、富山県、石川県も災害対策本部を設置した。人的・住家被害は朝の時点では確認中だったが、119番通報は一部地域で通常より増加し、消防応援も始まっている。
その前日、国は「レベル5大雨特別警報が発表されたときにとるべき行動」を改めて公表した。レベル5は、すでに安全な避難が困難となり、命の危険が差し迫る段階である。だからこそ、警戒レベル4までに避難することが基本となる。
【追記:2026/08/27 20:51】
しかし、医療的ケア児、人工呼吸器利用者、在宅酸素療法を受ける人、重症心身障害児者、高齢者、認知症のある人などにとって、「避難する」という行為は決して単純ではない。本人を起こす。医療機器を外す。あるいは機器を作動させたまま移動する。人工呼吸器、吸引器、酸素ボンベ、経管栄養物品、薬剤をまとめる。福祉車両を手配する。介助者を呼ぶ。受入先へ連絡する。医療情報を共有する。そこには時間が必要である。
だから、要配慮者の防災では「警報を受け取ったか」だけでは不十分だ。その情報が、誰かの具体的な行動へ変換されたかを見なければならない。誰が電話をするのか。誰が迎えに行くのか。誰が人工呼吸器を運ぶのか。どこへ避難するのか。その場所で電力、水、吸引、薬剤を確保できるのか。この一連の動きまで成立して、初めて情報は防災機能になる。
個別避難計画についても同じことが言える。内閣府と消防庁の2026年4月1日現在の調査では、全国すべての市町村で個別避難計画の作成実績が生まれ、完全未作成自治体は解消した。しかし、避難行動要支援者名簿に掲載される約670万人のうち、実際に計画が作成されているのは約101万人、15.1%にとどまる。
【追記:2026/08/27 20:52】
さらに重要なのは、計画の「数」ではない。避難訓練等を通じて実効性確保に取り組む自治体や、具体的な避難支援体制まで整備している自治体は、全自治体から見ればまだ限られている。計画書に避難先が書かれていても、夜中に介助者が来なければ、その計画は動かない。福祉車両が冠水した道路を通れなければ動かない。人工呼吸器を持って避難できても、避難先に電源がなければケアは続かない。個別避難計画の次の課題は、「作ったか」ではなく、「本当に使えるか」である。
この問題は、熊本地震の復旧過程からも見えてくる。熊本では、水道本管の復旧が進んでも、宅内配管が損傷し、自宅では水を使えない世帯が残った。国土交通省は8月26日から、被災地域の水道利用者を対象に、宅内配管を修繕できる工事業者を紹介する専用コールセンターを開設した。
【追記:2026/08/27 20:52】
これは一見、小さな制度対応に見える。しかし、防災政策の視点から見ると非常に象徴的である。水道本管まで水が来たことと、家庭の蛇口から水が出ることは同じではない。
人工呼吸器利用者の災害対策では、非常用電源がしばしば中心に置かれる。しかし、在宅医療を支えるのは電気だけではない。吸引後の衛生管理、経管栄養、排泄、清拭、入浴、感染予防には水が必要である。公共インフラの復旧地点と、生活の復旧地点は一致しない。
同じことは、福祉施設にも当てはまる。熊本では保育所等の再開が進む一方、児童福祉施設や障害児施設の一部では停電・断水が残っている。施設が「開いている」ことと、「必要なケアが提供できる」ことは別である。医療的ケアができるか。排泄を支援できるか。食事を提供できるか。空調が使えるか。送迎が戻っているか。職員が足りているか。こうした機能が失われれば、その不足分は家族へ戻る。施設が再開していても、家族が24時間介護に戻っているなら、その家庭にとって復旧は終わっていない。
近年の研究も、制度と生活の間にあるこの距離を示している。在宅酸素療法に関する全国調査では、医療機関のうち災害対応計画を持つ施設は8.8%、患者へ災害対応を指導している施設は24.9%だった。一方、酸素供給事業者では97%が災害対応マニュアルを持っていた。つまり、物資供給側の備えが進んでいても、医療機関、患者、自治体を結ぶ仕組みが十分でなければ、備えは生活の場まで届かない。
【追記:2026/08/27 20:52】
福祉避難所についても、課題は「指定されているか」から、その先へ移っている。研究では、福祉避難所への直接避難を認めるかどうかは自治体ごとに異なり、指定されていても、受入体制、施設の安全性、設備、備蓄などが十分ではない場合があることが報告されている。
人工呼吸器を使用する人にとって、一般避難所を一度経由してから福祉避難所へ移動すること自体が危険になる場合がある。だからこそ、平時に決めておく必要がある。誰が直接避難できるのか。誰が迎えに行くのか。医療機器を持ち込めるのか。早朝や深夜でも受け入れられるのか。
防災制度において、もっとも見落とされやすいのは「最後の数キロ」である。道路が復旧しても、訪問看護師が患者宅まで到達できなければケアは戻らない。港に物資が届いても、酸素ボンベが患者まで届かなければ意味がない。通信網が復旧しても、家族が「夜中に誰へ電話すればよいか」を知らなければ支援につながらない。防災ロジスティクスの終点は、倉庫でも、港でも、避難所でもない。人である。
【追記:2026/08/27 20:53】
制度の実効性を測るためには、これから評価指標そのものを変える必要がある。個別避難計画作成率だけではなく、実際に避難できる人の割合。非常用電源配備率だけではなく、停電時に必要時間のケアを継続できる人の割合。福祉避難所指定数だけではなく、必要なケアを提供できる受入人数。水道復旧率だけではなく、自宅で安全な水を使える世帯の割合。そして在宅避難者については、把握した人数だけではなく、「必要な医療・福祉・生活支援が届いた割合」を見る必要がある。
災害に強い社会とは、制度が多い社会ではない。レベル5になる前に、必要な人が安全な場所へ移れる。停電しても人工呼吸器が動き続ける。水が止まってもケアを続けられる。薬や酸素が本人まで届く。家族が倒れても代わりの支援者がいる。夜中でも助けを求める先がある。その一つひとつがつながったとき、制度は初めて「防災機能」になる。
防災の実効性は、「何を整備したか」だけでは測れない。問うべきなのは、もっと単純で、もっと厳しい。誰のところまで、何が届いたのか。その問いから、防災政策を組み直す時期に来ている。
参考資料
内閣府 防災情報
https://www.bousai.go.jp/
消防庁
令和8年8月27日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況
https://www.fdma.go.jp/disaster/
内閣府・消防庁
避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等に係る取組状況
https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/youengosya/
【追記:2026/08/27 22:13】
【企業が災害への備え急ぐ BCP策定2割】
熊本地震など大規模な自然災害が頻発する中、企業が被災に備えた事業継続計画(BCP)の策定を進めている。民間の調査では、策定率は上昇傾向にあるが、大企業でも約4割、中小企業では約2割と低調だ。企業は規模を問わずつながるサプライチェーン(供給網)を構築しており、被災による業務への影響が長期化する懸念もあり、十分な対応が必要だ。
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