情報 地域の中で食事を囲みながら子どももお年寄りも交流

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2022/01/13 15:52:47

みなさんは子どもの頃、駄菓子屋に通った記憶はありますか?

携帯電話もなかった私の幼少期は、駄菓子屋に行けば近所の友だちに会えるので、自分にとっては小さなコミュニティのような場所でした。上級生から遊びを教えてもらった記憶もあります。

今ではまちの駄菓子屋も少なくなり、子どもたちがそんなふうに集まる光景は減ってきていますが、「昔ながらの光景が広がる場所が奈良県の生駒駅近くにオープンし、全国からも注目を浴びているらしい!」と聞きつけました。その場所の名前は「まほうのだがしやチロル堂(以下、チロル堂)」です。

まほうのだがしやチロル堂とは?

チロル堂は生駒駅から南に歩いてすぐの場所にあります。暖簾をくぐるとすぐに駄菓子の販売スペースが。入口横にカプセル自販機があり、18歳以下の子どもは買い物前に100円で1回、マシーンのレバーを回すのがルールです。

カプセルの中には“チロル札”がランダムに1〜3枚入っていて、1枚が100円の価値のある店内通貨「チロル」になります。うまくいけば2〜3枚入っていることも。子どもたちは1チロルで、駄菓子を買ったり、通常500円のカレーや300円のポテトフライを食べたりできます。

それを可能にしているのは、大人が支払った代金の一部が寄付される仕組みです。これがチロル堂の魔法。

ダダさん 店内でカレーやお弁当を買って寄付することを僕らは“チロる”と呼んでいます。「今日チロル堂でチロってきました」とSNSなどで見かけると「浸透している!」と感じてうれしいんですよ。

福祉と表現者がつながった

チロル堂をつくったのは、生駒市に縁のある4人です。生駒市で放課後等デイサービスを運営する石田さん、アートスクールを営むダダさんに加え、デザイナーの坂本大祐(さかもと・だいすけ)さん、地域こども食堂「たわわ食堂」を運営する溝口雅代(みぞぐち・まさよ)さんが集い、一緒に考えることで実現しました。

原点は、石田さんの思いでした。

石田さん 私たちのような福祉事業所は制度上、障がいがあるかないか、大人か子どもか、貧困かそうでないかといった分類でできることか決まってしまいます。でも子どもの困りごとは、実は親の困りごとであり、社会の問題です。多くの問題が連動しているのに入口が別々のためアプロ―チできなかったり、分断されたりしてしまう。そのことにずっと悶々としていました。
石田さんは、地域の中で食事を囲みながら子どももお年寄りも交流できる、地域こども食堂「たわわ堂」という居場所づくりに、ボランタリー精神で6年間も取り組んできた溝口さんの存在が気になっていたそうです。やがて溝口さんと知り合い、話していくうちに、常設の場所を持っていないために活動が定着しないという課題があることを知り、一緒に取り組むことで何か解決できないか、と考えました。

その一方で、大阪から移住し生駒で放課後等デイサービスの立ち上げを検討していたダダさんを石田さんが手伝うこととなり、二人はお互いの活動を知るようになりました。

石田さん ダダさんは発達障がいのある子どもを福祉的に支援するのではなく、アートで子どもたちの能力を伸ばす福祉事業をはじめられたんです。

ダダさん 石田さんだけじゃなくて、生駒の人はみんなすごい助けてくれるんですよ。多分ベッドタウンとして栄えてきた土地柄がそうさせているんだと思いますが、よそ者を受け入れるカルチャーが根づいているんですよね。石田さんとはそういうつきあいからはじまって、デザイナーの坂本さんとも仲良くなって、3人で何かやりたいと言っていたんですよ。

【追記:2022/01/13 15:53】
石田さんはそこに溝口さんも巻き込み、異分野の4人で一緒に考えることに。

石田さん 表現者の方にどうかかわってもらうかは私自身の課題でした。福祉の事業を福祉的に発信しても誰も興味をもってくれないんですよ。「あれは障がいのある人の話だ、困っている人の話で自分とは関係ない」と受け止められてしまう。豊かに生きるために誰にとっても必要なのに、どうしても切り取られちゃうので、社会に向けてちゃんと表現する力が必要だとずっと思っていました。

こうして4人(4団体)が合流し、チロル堂の構想が立ち上がりました。

チロル堂をはじめる前、ダダさんには気になっていたことがありました。


ダダさん “こども食堂”はすばらしい活動をしています。でもこども食堂は、「本当にリーチしないといけない子どもたちにリーチできないのではないか」と感じていました。というのも僕が小学生だったら行かないと思ったんです。知らないおばさんに「大変だったね」とか話しかけられるぐらいならひとりで食べたいと感じる、僕のようなひねくれた子どももいると思います。もちろん、こども食堂はすばらしい活動というのが前提ですよ。


この課題を乗り越える仕組みはないかと悶々としていたある日、ダダさんの頭に突然あるストーリーが思い浮かんだそうです。




ダダさん 店には2つの扉があり、大人の入口と子どもの入口がある。子どもの入口にはカプセル自販機。100円を入れれば1チロルの店内通貨がゲットできて……みたいな今の仕組みとほとんど同じストーリーを4人に伝えたら「天才!」「オッケー、やりましょ!」となって、その3ヶ月後にはお店がオープンしたんですよ。

貧困をどうオブラートに包むかが課題だった石田さんは、「まさに私の、福祉を看板にしたら届かない、という思いを体現しているストーリーだった」と言います。

【追記:2022/01/13 15:54】
ダダさん 僕は一番大事なことを看板に掲げないほうがいいといつも思っています。アトリエe.f.t.の中にも生きづらさを抱えた子どもがたくさんいますが、アートスクールだからできたこともたくさんあると思っていて。

駄菓子屋じゃなくて文房具屋でもパン屋でも良かったんですよ。必ずしも“困っている子どもたちの場所”と言わなくても、ここにやって来る動機を何か別につくって、実はそれがある意味子どもたちを支えたりもしているぐらいのほうが、一番届けたいところに届くんじゃないかなと思ったんです。

ミーティングでは、通貨のことをチロルと仮称で呼んでいたそうですが、メンバー全員がかわいい響きを気に入ったので採用することに。念のためチロルチョコ株式会社に確認し、快諾してもらったとか。元々はスナックだった物件を契約し、2021年7月から内装工事、8月18日にオープンしました。

関わりしろをつくることで、みんなが使いこなしはじめた

オープン当初はお母さん連れの小さい子どもたちの場所という雰囲気だったものの、最近は急激に小学生が増えたといいます。

石田さん 小学生の口コミの力ですね。塾でも働くうちの事業所のスタッフが生徒に「先生、チロル堂って知ってる? めっちゃおもしろい場所やから今度連れてったるわ」と言われたそうで(笑)そうやって小学生たちがみんなを誘いたくなる場所になっているのがうれしいです。

この前も小学6年生が土曜11時のオープンと同時にわーっと入ってカウンターに並んでおもむろに勉強道具とゲーム機をセットして宿題をはじめて。お昼のカレーを食べようとみんなで約束してきたそうなんです。学生スタッフが宿題を教えたりして、みんながチロル堂のつかい方を熟知してきていると感じました。

【追記:2022/01/13 15:56】
  続きは ご自分でお願いします。

https://greenz.jp/2022/01/13/tyrol_do/?fbclid=IwAR3NgRsz5nNwJqjC1LeGwXHYWmP5gnE2YQYFIg6fSkg2auoUOTb7xRsozwk

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